『一回性のサクラ』

 

早くも桜吹雪が舞う頃となりました。毎年毎年桜は咲くけれど、咲く時期が

変わると「去年とは違うサクラ」だと言うことを実感します。

そして、それを感じたとき、私がいつも思い出すのは「人生は一回性」という言葉です。

駿台予備校の「理系の化学」という教科書の著者であり、私自身が有機化学を習っていた石川先生が、最後の授業で教えて下さった言葉です。

最初は「人生は一度きり」という意味かな?とか思っていたのですが、後になって、そうではないとわかります。桜を見たときに、去年咲いた桜と、見た目は同じだけど、「違う桜」だと理解したときに、全てのことが、同じようなことの繰り返しのように思えることでも、すべてが「一回しかない」のだと言うことが理解できました。それが「一回性」の意味なんです。例えば、浪人生も「二回目の受験」じゃなくて「一年間さらに勉強した後に受ける自分は去年とは違う自分だ」ということです。

 

「進級」の時期にこんな話をするのは、当塾の卒業生でも、この春、進級せずにもう一度同じ学年をやる決心をした生徒がいるからです。昨年、ある卒業生のお母さんから「転学してやり直すことにしました」というメールをいただきました。でも、それは子どもや親にとって「新しい学校での初めての学年」であり、立ち止まっているわけではなくちゃんと進んでいるのです。

その子達の新たな一歩に、誰よりも大きなエールを送りたいと思っています。「キズや反省をバネにして、強く乗り越え、前に進め」と。

 

3月には、昨年の中3生が卒業しましたが、その生徒からお手紙をいただきました。

『(一部抜粋)受験に受かって、特待生がとれたのも、先生のおかげです。ありがとうございました。

高校では、苦手な英語も、英検2級を目指してがんばろうと思います。わからないところをLINEで聞くと、先生がそのつど丁寧に教えて下さって、本当に嬉しかったです。いい大学に入ったら、塾で先生のお手伝いをしたいです。』

今も、季節講習には塾の卒業生に手伝いに来てもらっていますが、こうして、また塾に帰ってきたいと言ってくれる生徒がいるのは何よりも嬉しいことです。